マザーテレサに出逢った時の話

想う事

マザーテレサに出逢った時の話

高校3年生の秋、予備校に通っていた僕は近くの本屋まで参考書を買いに行った。

しかしその本屋でふと平積みされていた1冊の本が目に入り、開いてみるとマザーテレサのことが書いてあった。

予備校の授業が控えていたこともありその本をすぐに閉じようと思ったが、なぜかページをめくる手が止まらない。

僕はそれまで漫画以外の本はほとんど読んだ事がなかったが、気付いた時にはその本を一冊丸々立ち読みしてしまっていた。

読み終わった僕は予備校のことなんか忘れてただただ単純に「マザーテレサってすげぇ・・。」と思った。

それから僕はマザーテレサやインドの事が頭から離れなくなった。

それがキッカケで「自分の人生このままでいいのか?」という感情が渦巻き、悩みに悩んだあげく予定していた受験を辞めてインドのマザーテレサが創ったボランティア施設「マザーハウス」に行く事を決めた。

今振り返ってみてもメチャクチャ単純な奴である。

周囲の反対を押し切り大口叩いて「インドに行く!」と決意はしたものの、一度も海外に行った事がなかった僕は内心ビクビクしまくっていた。

今では笑い話だけど、「死んだ時の為に。」と遺書を書こうと思った程だ。
結局遺書を書くには至らなかったものの家を出る時は中途半端に家族宛ての置き手紙を残して出発した。

そして遂にマザーハウスのあるインドのカルカッタに着いた。
マザーハウスに来ているボランティアの数は常時軽く100人は超している。その数の多さにただ漠然と「やっぱりマザーテレサって凄いんだな~。」なんて思ってた。

念願のマザーハウスでのボランディア生活は初めての事だらけでとても充実していた。

そんなボランディア生活も2週間が過ぎた頃、ある衝撃的な出来事があった。

それはマザーテレサが生前住んでいた部屋を見せてもらった時のことだ。

5畳程の広さの部屋にあるものは質素ともいえる至って普通のベッドと本棚と机のみとなんてことのない普通の部屋だった。

しかし、僕はこの「なんてことのない普通の部屋」を見た時に衝撃を受けた。

有名なマザーテレサの部屋が思ったより小さく質素だったからではない。
そういうことじゃなく、ただただ直感で衝撃を受けたのだ。

マザーテレサは女性の幸せともいえる、結婚することも子どもを作ることもなく、生涯を貧しい人を助ける為に捧げてきた。
本人はそうは思ってないにしろ、人生を貧しい人を助ける為に捧げてきたといえる。
そんな事、自分には絶対に出来ない。
僕は結婚もしたいし、子どもも欲しいし、旅行もしたいし、欲しい物だってある。

そんな自分とマザーテレサとの違いに愕然とした。

何故かそんなことを部屋を見せてもらった時に直感的に思ったのだった。

それまで僕はマザーテレサのようになりたいと思っていた。

でも部屋を見た瞬間に「あ、マザーテレサにはどう足掻いてもなれないんだな。」と悟った。

世の中に凄いと思う人は沢山いるけれど、身体から突き抜けるような、心の底から凄いと感じた事があるのは今でもマザーテレサだけだ。

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先日嬉しい発見がありました。

それは僕たち夫婦が結婚した8月26日がマザーテレサの誕生日だったのです。

結婚した後、ふとマザーテレサのことを調べていたら気付きました。

今でもたまに「マザーテレサって本当にすごい人だよな~。」と半ば飽きれながら思ったりします。

例え貧しい人の為に100億円寄付した人がいようが1000億寄付した人がいようがマザーテレサの方がすごいと思ってしまいます。

人はお金を超える価値があるんだということをマザーテレサから教えてもらった気がします。

「あなたが自分が無力だと感じていたとしても、ただあなたが手を握ってくれるだけで幸せだと感じる人もいるのよ。」生前のマザーテレサはボランディアの人達にこのように言っていたそうです。

「愛の反対は無関心」という言葉もそういう想いから生まれたのでしょう。

本当に凄い人です。

この記事を書いた人
原田 翔太

日本食堂「大和」「和心」代表。
2児の父/ダカールTV/セネガル起業12年目
2015年からセネガルの首都ダカールに家族で移住しています。

セネガル日本食堂「和心」2017年4月グランドオープン。
2号店レストラン「大和」2024年2月プレオープン。
※大和は週3日木~土曜日のディナー営業のみのプレオープン中です。(2024年3月現在)

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