2016年8月〜9月の夏休みには3人もの大学生が「アフリカインターン」に参加してくれました。
今回はその内の一人目タクミくんについて書いていきたいと思います。
アフリカインターンに興味を持ったキッカケ
日本食堂「和心」の5人目のインターンシップ生としてセネガルにやってきたタクミ。
彼は「アフリカで活動をしてみたい!」という思いから、インターンに来ることを決断してくれました。
初めてスカイプをしたのは彼が大学1年生の時。
将来、国際協力の舞台で働きたいと考えており、セネガルに来て何かキッカケを得れたらと思っていたようです。
大学1年生の時から将来のやりたいことを決まっているだけでもすごいのに、実際にセネガルまで本当に来てしまうのはすごいの一言です。
インターンとしての活動内容
タクミの滞在期間は1ヶ月半。
色々とやりたいことを聞くと、彼は「BOPビジネス」に興味があるとのことでした。
BOPビジネスとは、ビジネスのターゲットが経済的に豊かではない人達にしたビジネスのこと。
有名なのはバングラデシュのグラミン銀行。
収入が少ない個人事業主にもグラミン銀行から融資をすることで、誰でもビジネスを始められるようになり一躍有名になりました。
「でもセネガルで銀行?さすがに難しい。。。ん〜。」
僕らも頭を悩ませましたが、一つ前々から思っていた事を思いつきました。
それは「お金持ちではない人たちにも日本食を食べてもらいたい。」というものです。
これから開業する日本食堂「和心」は富裕層向けの日本食レストランです。
しかし、将来的には現地の人でも気軽に来れるレストランを開業したい。
まだまだ経済的に裕福とは言えない国ですが、それでも確実に少しずつ経済が伸びてきているとは実感できる。
ということは近い将来、国民が外食に使えるお金が今よりももっと増えるかもしれない。
そうすれば今はまだビジネスとしてはギリギリでも将来的には彼らをターゲットにするビジネスはいけるかもしれないと思いました。
(こんな感じでコロッケ販売もやりました。)
ただ、その時に一つの疑問が湧いてきました。
「そもそもセネガル人ってどんな食べ物が好きなんだ?」
味が濃くて辛いものが好きなのはなんとなくわかっていましたが、実際に日本食となると何が好きなのかよくわからない。
「そうだ!これをタクミに調査してもらおう!」と思いました。
スカイプ越しに彼にそのことを伝えると意欲を見せてくれ、セネガルでのタクミのメインの活動は決まりました。
それと平行して首都のダカール以外にも興味があるということで、青年海外協力隊の方のいる町と村にも1軒づつホームステイさせてもらうことにもなりました。
セネガル人に日本食の試食実験・・・結果は??
セネガルに来たタクミは全く料理ができない状態でした。
しかしただ一つだけ彼ができる料理。
それは「なすのおひたし」でした。
「なんでなすのおひたし?」って思いました(笑)が、彼はセネガル人は「なすのおひたしが好きなんじゃないか?」と日本で研究してきたそうで、そんな話を聞いていると僕も「確かにそうかもしれないな。。。」と思うようになりました。
そしていざ、地元の市場にタクミが作ったなすのおひたしを持っていく。
結果は・・・。
な、なんと、一切食べようとしてくれない!
「無料だよ!?無料でいいので食べて感想を聞きたいです!」と言っても気味悪がって一切食べてくれません。
かろうじでおひたしの汁だけ舐めてくれる人がいたので、感想を聞くと渋い顔で「うん、、、美味しいよ。。。」と。
絶対ウソじゃん!!!(笑)
よくよく話を聞くと、セネガル人はなすがあまり好きじゃないようです。
そして見た目も悪かったんだとか。
味見をしてくれたおばちゃんたちのほとんどはイスラム教徒。
イスラム教徒は豚肉や酒類を一切口にしてはいけません。
なので、「外国の得体のしれない食べ物」は日本人が思っている以上に怖いようです。
なすのおひたしは諦めてコロッケを食べてもらおう
なすのおひたしはもうこれ絶対に無理だ。。。
「タクミ、せっかく日本で練習してきたのにごめんよ。。。」
でもタクミはすでに前を向き「原田さん、なすのおひたしはもう厳しいですね(笑)次はどうしましょう?」と言ってくれました。
そうだ、きっとセネガル人が好きな日本食だってきっとあるはず。
そういえば、以前一度だけ家の前でコロッケ販売をしたことがありました。
その時はセネガル人になかなか好評で特にタルタルソースやマヨネーズをコロッケにかけるとみんな「最高!」と言っていました。
なので、原点に戻り、また改めて市場のおばちゃんたちにコロッケを試食してもらうことにしました。
タクミはコロッケどころかパン粉をつけたことすらありませんでしたが、頑張ってコロッケを5時間以上かけてたくさん作っていました。
前日にコロッケを仕込んで、当日の朝に揚げていざ、市場へリベンジ!
なすのおひたしの件があったので、「あいつらまた何か持ってきたよ。。。」そんな顔で見られました。
しかし僕らが持っているのがなすのおひたしではないと知ると、、
なんかおばちゃん達、めっちゃコロッケ食べてるー!!!
嘘でしょ!?
イスラム教徒は中に何が入っているか確認しないと食べないんじゃないの!??
そう思っていましたが、みなさん何も確認せずにどんどん食べていき、一瞬で完売。
するとおばちゃん達から、
「これ早く売ってよ!」
「いつから売り始めるの!?」
「今から作って持ってきなさい!」
本当に大盛況でした。
セネガルでのコロッケ販売を通じてわかったアフリカの経済事情
後日、改めて今度はコロッケを販売することにしました。
揚げたてのコロッケを持って行くと、おばちゃんたちは「待ってたよ!」と言わんばかりに僕らの周りに集まってくれました。
今回は販売だったので、「コロッケ1個200CFA(40円)ですよ。」と伝えると、おばちゃんたちは
「200CFA高すぎるよ!」とほとんどのおばちゃんは買ってくれませんでした。
やはりいくらコロッケが好きだとしても値段が高いと買わないようです。
セネガルには数年前にベトナム人が「ネム」という揚げ春巻きを流行らせて今でもネムのお店はたくさんあります。
ネムが一つ100CFA〜200CFAなので、「コロッケも200CFAなら買うだろう。」と思っていましたが、そうもいきませんでした。
今回はテスト販売ということもあり、すぐに値段を200CFAから150CFAに変更してみました。
すると「高い!」と言っていた市場のおばちゃんたちも買ってくれるようになりました。
50CFAの違いでここまで反響が違うとは。。。
50CFAといえば、日本円に換算するとたった10円です。
セネガルでは50CFAは50円ぐらいの価値だと僕は思っていましたが、現金収入が少ないセネガル人にとっては50円どころか50CFAは100円、150円の価値があるように思いました。
思えば、バスに乗るお金すら払えない人もいるセネガル。
おばちゃんたちはいくら市場で働いているとはいえ、50CFAは貴重なお金です。
頭ではわかっていても、この50CFAの大切さは僕も初めて知りました。
アフリカでのBOPビジネスは難しい
コロッケ販売を終えて改めて「アフリカでのBOPビジネスは難しい。」とわかりました。
正直コロッケを1つ150CFAで販売してても利益はほとんどありません。
そういう中でビジネスをするのは本当に難しいことだとわかりました。
でもそれでも無理ということは絶対にないはず。
他にもタクミはセネガル人の好みを調査して、揚げ物や甘いモノは基本的には大好物ということがわかりました。
和心としても将来的に2店舗目、3店舗目を出店した際に、彼ら彼女たちにきてもらいたいと思いました。
セネガルの村へホームステイ
タクミはBOPビジネスの活動以外にも、青年海外協力隊の方の村を訪問しホームステイをさせていただいたりもしました。
村は首都ダカールとは全く違ったようで、その様子を興奮気味に話してくれました。
彼自身、村での生活は本当に気に入ったようでした。
またいつかセネガルに来た時も村に行ってみたいと言っていました。
その他にもゲストハウスのお客様も含めてみんなで野球をしたり、ゴレ島に観光に行ったり、ンゴール島というリゾート地に行ったり色々と充実した日々を過ごしていたようです。
タクミは途中、体調を崩してしまいすごく心配しましたが、途中からは元通り元気になって精力的に活動していました。
最後帰る時に「セネガルに来て本当に良かったです。ありがとうございました。」
そんなことを言ってくれた時は僕もスタッフもみんな嬉しかったです。
インターン生が元気な顔でいる姿を見るといつも元気をもらいます。
これからも日本で元気に、そして将来やりたいことができるようにセネガルから応援してるよ!
セネガルから感謝を込めて。