セネガルのコロナウイルス対策~感染者発覚からロックダウンまで~

コロナサバイバルin Africa

世界中でコロナウイルスが猛威を奮っています。
セネガルでも同様で3月23日に非常事態宣言が発令されて2ヵ月が経とうとしています。

下記、現在のセネガルにおけるコロナウイルス感染者の内訳になります。

2020年5月20日現在、セネガルにおける新型コロナウイルスの感染者は累計2,714名、うち30名が死亡、1名が国外搬送、1,186名が治癒済み、1,497名が治療中です。

(在セネガル日本大使館からのメールを引用)

今回はセネガル政府がコロナウイルス対策に行った政策を時系列で書かせていただきます。
(この記事の引用は全て在セネガル日本大使館より)

3月2日(月)セネガルでのコロナウイルス最初の感染者を確認

セネガル国内で最初の感染者が確認されたのが3月2日(月)です。
日本大使館からも同日にメールが届きました。

3月2日(月)セネガルで初となる新型コロナウイルスの感染事例が確認されました。
保健大臣の会見によると、ウイルス検査で陽性と診断されたフランス人はアルマジ(ダカール近郊)在住で、2月26日(水)にセネガルに入国しました。

しかし、実は2月末の時点でセネガル国内でコロナ感染者が見つかったという噂は出ていました。
セネガル人スタッフも「遂にセネガルでもコロナがやって来た。」と言っていました。

ただ、この時点ではまだ噂だったので、3月2日のメールが来た時は「とうとうセネガルにも来たか。。。」という感覚でした。

一方、この時点では正直そこまで危機感は高くなく、我々のレストランも他のレストラン同様、通常営業していました。
また、ヨーロッパでの感染拡大の前で、中国や韓国で感染が拡がっているという状況でした。

なので中華料理屋や韓国料理屋にはお客さんに行かなくなり、日本食レストランであるうちが連日満席の状態でした。
中々普段でも連日満席になる事は珍しいので、この時点ではコロナにより売り上げが上がったといっても過言ではありませんでした。

ただ、この頃から街を歩いていると、地元の子ども達から「コロナ!コロナウイルス!」とヤジられる様になってきました。

3月6日(金)セネガル国内感染者4名

3月6日(金)現在セネガルにおける累計感染者数は4名で、3月5日以降、新規感染者の発表はありません。

セネガル国内(いずれも首都ダカール在住)での感染者が4名になりました。
しかし、この時点では感染者はフランス人3名、イギリス人1名でいずれもヨーロッパで感染してからセネガルに来て発症した状態です。

また、4名ともダカールのFann病院に隔離入院され、容態は安定という事で危機感はまだ薄い状態です。

一方で政府は同日、水際対策強化を発表。
ダカール国際空港でサーモグラフィーによる検温を全乗客に開始しました。

それまでは中国からの渡航者がメインでされていた検温チェックを全ての乗客を対象になりました。

この時点ではまだセネガル人感染者はゼロで、危機感も薄い状態。
マスクを付けている人もほぼゼロ。

ただ、ヨーロッパで感染が拡大が連日ニュースに取り上げられるようになっていました。

レストランのお客さんは、先週の様に満席まではいかなくとも、通常通りお客さんは入っていました。

3月14日(土)徐々に増す緊迫感

危機感の薄かったセネガルのコロナ対策でしたが、少しずつ緊迫感を増していきます。

3月14 日(土)、サル大統領は、3月16日(月)以降の学校及び大学の休校,一か月間の公共集会の禁止を含む緊急対策を指示しました。
サル大統領は、新型コロナウイルス対策のための新たな措置として以下を指示しました。
(1) 軍による移動型病院運営を含む緊急時対応計画を開始
(2) 1か月間の公共集会の全面禁止
(3) クルーズ船のセネガルへの寄港の禁止
(4) 3月16日から,学校及び大学を休校
(5) イスラム及びキリストの巡礼の中断
(6) 宗教権威者に対し,国による中断措置に寄り添うよう要求
(7) 4月4日の独立記念祭を中止。代わりに大統領府で軍による式典を開催
(8) 在外セネガル人に対し,滞在国の指示に従うよう要求

3月14日(土)現在、セネガルにおける累計感染者数は21名で、うち2名が治癒、19名が隔離入院中です。

感染者が緩やかに増えている状態で、セネガル人も感染し、セネガル人同士での感染が見られる様になりました。
ただ、死者は出ていない状況という事もあり、この時点では「ここで終息してくれたらいいな。」という希望的観測をみんなが思っていたと思います。

コロナは寒い時期にしか流行らないという事もあり、セネガルで感染が拡大するとはまだあまり信じ切れない気持ちでした。

レストランは売上はそこまで落ち込んでいませんでしたが、客数は明らかに先週に比べて減っていました。
売上が落ちていない理由は常連のお客様が、「最近お客さん減ってるでしょ?」という事でうちに来てくれる方が多かったのがあると思います。(本当に感謝です)

しかし、全ての学校が閉鎖になり、インターナショナルスクールへケータリングが出来なくなってしまいました。

3月20日(金)ダカール空港閉鎖

ここで悪い方に事態が一変します。
遂に空港が閉鎖されました。

3月19日、セネガル政府は,3月20日(金)23:59から4月17日(金)まで、国内線、貨物便、一部の緊急便を除きセネガルの全ての空港における全ての便の運航を一時停止すると発表しました。セネガル政府によると、この措置の期間は状況に応じて延長される可能性があります。

これには衝撃でした。
この2日前まではエミレーツ航空等、一部の航空会社が3月22日からダカール便を停止するという状況で、トルコ航空やエチオピア航空は3月22日以降もダカール便は通常通りという状態でした。

それが一変し、全てのフライトがキャンセル、実質空港閉鎖という状態です。

うちのインターン生達や宿泊のお客様は急いで航空券を取得し、なんとかギリギリ最終便で日本に帰国する事ができました。
本当にバタバタでしたがホッとしました。。。

しかし、この頃にはレストランのお客様はほとんど来客がありませんでした。
来て下さったお客様も「しばらく来れないだろうから…。。」や「次回はデリバリーを注文させてね!」という風に言われました。

この頃にはセネガル全土で非常事態宣言、ロックダウンが秒読みという噂が出ていました。

また、セネガルの隣国であるギニアやガンビア、モーリタニア等での国境封鎖がなされたのもこの時期です。

3月24日(火)非常事態宣言発令

遂にセネガル全土で非常事態宣言が発令されました。

セネガルでは2020年3月24日に大統領が会見を行い、緊急事態宣言ロックダウン措置を取ると発表しました。

ロックダウンの主な内容は、下記の通りです。
・夜20時~早朝6時の完全外出禁止
・(引き続き)全ての学校の封鎖
・レストランやバーなどの営業禁止
・大人数での集会やイベントを禁止(モスクや教会での集まりも禁止)
・都市間の移動禁止(長距離バス全便停止)
・タクシーやバスでの乗車制限(5人乗りタクシーは3人まで乗車可など)

正直、セネガルの対応の早さに驚きました。
前日頃まではロックダウンの噂は出ていたものの、まだ先だろうというのが大方の予想でした。

しかし大統領が緊急会見を行い、その日の深夜から非常事態宣言を開始するというものでした。
会見開始の4時間後には開始という状態です。

非常事態宣言発令によりレストランの営業ができなくなってしまいました。

ただデリバリーやテイクアウトは続けて良いという事で、今現在も続けています。

セネガルの非常事態宣言は上記の通り、外出禁止は夜間のみです。
その為、日中は出歩いたり買い物をしても大丈夫という状態が続きました。

一気にセネガル国内で緊張感が高まりました。
(余談ですがこの頃は日本ではまだ緊張感がなく、成田空港を含めほぼ全ての空港での検疫はほぼスルー状態という事や街も普通に動いているという事でセネガルにいる我々は驚きました。)

感染者は3月23日現在、累計79名。(うち8名が治癒、71名がダカールまたはトゥーバの病院で隔離入院中)

4月3日~非常事態宣言の延長を発表、初の死者確認

4月3日、サル大統領がセネガル全土で30日間の非常事態宣言の延長を発表しました。

その後4月6日現在、セネガルにおける新型コロナウイルスの感染者は累計226名(内2名が死亡、1名が国外退避、92名が治癒済み、131名が隔離入院中)

4月19日には商業施設や交通機関利用時などにマスク着用義務化を発表しました。
また、地元の市場は曜日を限定して、営業を可能としていました。
(うちの近所の市場は月・水・金の週3日営業)

また、ダカール空港は引き続き5月31日まで閉鎖される事も発表されました。
しかし一部特別便が出るという情報も日本大使館からいただいていました。

外務省が海外在住の日本人をできる限り日本に帰国させたいという事からの措置のようです。
しかし我々はセネガルで仕事があるというのと、特別便が通常の5倍~10倍程(約50万円~80万円)するという事で日本への帰国は見送りました。

我々はこの頃にはほとんど外部の人と接触しない様にしていました。
月に一度のスーパーや八百屋や肉屋の配達員の方意外とはほぼ接触していません。

そういう事もあり、逆に日本に帰るよりも感染リスクは低いと判断したのもあります。

また、セネガルのサル大統領は5月3日、更に30日間の非常事態宣言の延長が発表されました。

5月12日一部非常事態宣言の緩和

5月12日に一部の非常事態宣言の緩和を発表しました。

主な内容は下記の通りです。
・夜間外出禁止令(20時~6時まで)を21時~5時までに短縮する。
・モスクや教会の利用再開
・各学校の(試験のある)最終学年のみ6月2日から再開

サル大統領が述べた非常事態宣言緩和の理由は、現在の感染状況は今後3、4か月は最低でも続くとし、今後は新型コロナウイルスと共存し、この状況に適応する必要があると発表しました。

その為、医療崩壊を避ける為に感染拡大を抑えつつ、少しずつ経済を回していく為の措置だと思われます。

最後に~今後のコロナウイルスとの向き合い方から

3月2日にセネガルで初のコロナウイルス感染者が確認されてから目まぐるしく状況が変わっていきました。
他の国でもそうかもしれませんが、セネガルでもそれは同様でした。

マスクを付ける人が格段に増えた事、それまでは賑やかだった20時以降の夜の街が静まり返っている事、少し空気が綺麗になった事、一部の飲食店などは閉店する店も出てきました。

3月上旬は道を歩いていると子ども達に「コロナ!コロナウイルス!」と呼ばれていましたが、最近はセネガル全土にコロナ感染者がいる事からコロナ!と言われる事すらほとんどなくなりました。

また、我々のレストランも営業はできませんが、デリバリーやテイクアウトを注文してくださるお客様も少なからずいます。
しかし、それも3月末の非常事態宣言直後に比べると5月に入り少しずつ少なくなってきてしまいました。

うちのお客様はヨーロッパなど海外のお客様がメインなので、その方達が母国に帰っているのだと思います。
2ヵ月前にはこの状況は本当に考えられませんでした。

アフリカ大陸の感染爆発はこれから起こる可能性があるとも懸念されています。
そうならない為に政府がこれからどういう対応をしていくのか気になる所です。

6月2日以降セネガルの非常事態宣言は現時点では解除される可能性があります。
(延長する可能性も短縮する可能性もあります)

レストランの営業再開時期については本当に難しいところです。

営業を再開したいのは山々ですが、我々スタッフが感染するリスクも当然高くなります。
万が一コロナウイルスに感染してしまったら、レストランの営業どころかデリバリーやテイクアウトも出来なくなり、命に関わる可能性もゼロではありません。

なので、慎重に見極めていきたいと思っています。
コロナウイルス、早く収束して欲しいですが、その為にも我々も不要不急の外出を控え感染拡大を防止したいと思います。

最後に緊急事態宣言中のセネガルの街中の様子を撮影しました。
5月上旬に撮影した様子になります。

興味のある方は是非ご覧いただけたらと思います。

僕が使っている動画編集ソフトPowerDirector365

この記事を書いた人
原田 翔太

日本食堂「大和」「和心」代表。
2児の父/ダカールTV/セネガル起業12年目
2015年からセネガルの首都ダカールに家族で移住しています。

セネガル日本食堂「和心」2017年4月グランドオープン。
2号店レストラン「大和」2024年2月プレオープン。
※大和は週3日木~土曜日のディナー営業のみのプレオープン中です。(2024年3月現在)

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